そこまで読んであたしとエレナは同時に噴き出した。


なんだか真面目に読んでいるのがバカらしくなり、今度は大げさな抑揚をつけながら演劇さながらに読み上げていく。


「オークション開始金額はなんと1万円!!


お買い得な《画家の手》を、どうぞ直にご覧ください!!」


その下にはURLが張られてる。


あたしは迷う事なく、それをタップした。


すると画面上には見慣れた通販ンサイトのロゴと、知らない画家の名前と、その人が書いたとみられる絵が何点か表示された。


「《画家の手》っていうタイトルの絵があって、それのオークションってことじゃないの?」


「そうかもね」


あたしはエレナの言葉に頷いた。


無名作家でも、見る限りとても綺麗な絵だし1万円くらいの値段はつくと思えた。


「絵はいらないなぁ」


いくら綺麗でも、絵を飾るような趣味はない。


美術館とかも、学校の行事で連れて行ってもらった程度だった。