その事を一番理解しているのは藤吉さんで、他人の力なしでは認められないとわかった瞬間、どれだけ悔しかっただろうか。


そう考えると、少しだけ胸が痛くなった。


大きな夢なんて持ったことが一度もない自分が、藤吉さんを責められる立場ではないんじゃないかと思て来る。


藤吉さんは15歳にして大きな挫折を経験しているかもしれないのだ。


「ねぇ、特別会員なんてやめちゃいなよ。またオークションの連絡がくるかもしれないよ?」


エレナがそう言ってきて、あたしは我に返った。


「あ……そうだよね」


あれから会員登録したままだったことを思い出す。


あんな妙なオークションの連絡が入ってくるなら、すぐに退会した方がいい。


通販サイトももう使わないだろう。


あたしはそう思い、サイトからのメールを消したのだった。