爆音と火薬の臭いで頭の中が真っ白になる。


男性客の額から血が流れ、ゆっくりと後方へ倒れていくのを何も思わずに見つめていた。


銃口からは煙が出ていて、今目の前で拳銃が発砲されたのだと言う事がわかった。


「いやぁぁぁぁ!!」


エレナの悲鳴でハッと我に返る。


目の前には白目をむいた男性客が倒れていて、ピクリとも動かない。


「あ……あ……」


叫びたいのに、叫べない。


エレナがあたしの体を痛いほどに抱きしめて来る。


「いいかい? 今度オークションに来るときはちゃんとそのことをわきまえてからおいで」


発砲した男がニッコリとほほ笑んでそう言った……。