足を強く撫でると皮膚ズルッとずれてはがれ落ちた。


爪に茶色くなった肉が食い込み、痛みを感じる。


あぁ……あたしの足はもうダメなんだ。


そう思ったとき、肉が食い込んだ爪がポロリとはがれて床におちた。


「え……?」


見ると、両腕も紫かかってきていることに気が付いた。


「嘘でしょ……」


恐怖で声が震える。


体のあちこちから腐敗臭が漂い始め、紫色に変色した血がジワジワと流れ始める。


あまりの臭いに鼻を塞ぐとその手の肉が削げ落ちてしまった。


足の骨はむき出しになり、腐った肉がシーツを汚している。


それでもどうにか助けを呼ぼうとして鉄格子へ手を伸ばす。


その手も、指先からドロリと溶けはじめ徐々に二の腕へ向かって腐敗が進んでいく。


「あ……あ……」


声をあげたくても、臭いにおいが喉の奥からせりあがってきてむせこんだ。


むせた喉の奥からは血が流れだし、歯が何本も抜け落ちていく。


骨だけになった指先で自分の顔を触れてみると、美しかった顔が腐敗をはじめているのがわかった。