あたしが1つの才能とちゃんと向き合っていれば。


あたしがオークションなんかに頼らずに、自分自身の才能を信じていれば。


あたしが甘えた気持ちを持たずにいれば。


こんな事にはならなかったのかもしれない。


エレナの言う通りだ。


才能は他人から買うものではない。


自分が努力をして伸ばしていくものだ。


本当に叶えたい夢があるのなら、自分を信じて行動すればよかったんだ。


夢が叶わないかもしれないと不安になったり、怖かったりするのはみんな同じだ。


それでも夢が叶うまで戦う事ができるかどうか、それほどの意思をもっているかどうかが大切だったんだ。


夜になり、あたしはベッドに座って小さな嗚咽を漏らして泣いていた。


足が氷のように冷たく、薄暗い中でもその色は徐々に紫色になって行くのがわかった。


何度足をさすってみてもその冷たさは改善されず、ついには感覚も薄くなって行った。