授業で問題を当てられてもこれほどハキハキ答えている姿は今まで見たことがなかった。


そのことにも心底驚いていたが、ごく普通女子高生が一億という金額を提示した事に驚いていた。


この年齢で多額の借金を背負う事になるのだ。


あたしには到底考えられない事だった。


「藤吉さん、大丈夫かな……」


エレナが不安か表情を浮かべる。


あたしも同じ気持ちだ。


止めてあげた方がいいんじゃないか。


そんな気がする。


「あの……」


あたしは隣の男性に話しかけた。


「なに?」


「一億円って、本当に支払うんですか?」


「君は、さっきから面白いね」


男性はまた呆れたような顔を浮かべてそう言った。


少し馬鹿にされている気分になるけれど、聞かなければわからない事だらけなのだから仕方がない。


「ナンバー17が一億って提示をしたんだから、同然支払うんだよ」


「でも、そんなお金みんなが持っているわけじゃないですよね?」


「あぁ。ここは出世払いができるから大丈夫だよ」


「出世払い……?」


あたしは首を傾げて聞いた。