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久しぶりに走ったからか足は重たかった。


思うように前に進まず、いらだちを覚える。


それでも走らなければ遅刻してしまうので、あたしは自分の足に鞭をうって学校へと向かった。


校門が閉められる寸前で滑り込み、


「遅刻しました!」


と、教室へ駆け込む。


息は切れて大量の汗をかいている。


結局ホームルームには間に合わなかった。


落ち込んで自分の机に座ろうとしたとき、先生がジッとあたしを見ていることに気が付いた。


「なんですか?」


首を傾げてそう聞く。


「君は、誰だ?」


先生の言葉にあたしは一瞬キョトンとしてしまった。


教室内を見回してみても、みんながあたしの事を不思議そうに見ている。


教室を間違えた?


いや、そんなハズはない。


みんなよく知っているクラスメートたちだし、エレナだっている。


「なんの冗談ですか、先生」


遅刻してきたあたしをからかっているのかもしれない。