家の近くに車が停車するとほぼ同時に、両親の車が車庫へと入って行くのが見えた。


どうやらずっとこの車の後ろをついて走っていたようだ。


担架に乗せられた状態で車を下りると、お母さんが走って近づいて来た。


「藍那!」


「つい先ほど意識が戻りましたよ」


「よかった……」


お母さんはまだ混乱しているのか、あたしの変化に気が付いていない様子だ。


「お母さん、ごめんね心配かけて」


「なに言ってるの、藍那が平気ならそれでいいから」


そう言い、あたしの手を握りしめる。


あたしは軽くほほ笑んだ。


「もう自分で歩けるかな?」


スタッフの人にそう聞かれて、あたしは小さく頷いた。


それほどの怪我じゃないことここでアピールしておいた方が、明日からの生活に支障がない。


あたしは担架から下りて自分の足で歩き始めた。


目覚めてから時間が経ったので体の重さも消えている。


あたしはお母さんに支えられるようにしちぇ、家へと戻ったのだった。