雰囲気はそのままに、顔はガラリと変化した。


そんな感じだ。


特に肌だ。


きめ細やかで透明感があり、ほくろもない。


そのうつくしい肌があたしの印象を変えていた。


「ご両親にはあなたが交通事故にあったと説明をしておきました。なので、首のギプスはしばらく外さないでください」


「両親に連絡したの!?」


驚いてそう聞くと、スタッフは優しい笑顔を浮かべた。


「心配しなくてもオークションについては私どもも口外できません。そのために、両機関と連携して一芝居打つ時もあります」


「そうなんだ……」


あたしはホッとして息を吐き出した。


「この車も、今回はちゃんとした救急車なんですよ」


そう言われてあたしは初めていつもの車ではない事に気が付いた。


首を動かせないから周囲を見る事はできないが、スタッフの服も医師の服になっている。


「すごい」


あたしはそう呟き、笑った。


さすがオークションとしか言いようがない。