一時期有名になったけれど姿を消していた画家の絵。


一気にここまで跳ね上がるとも思えない……。


「まさか……嘘ですよね?」


あたしは男性を見てそう聞いた。


聞きながらも背中に汗が流れ、心臓はいつもより早くうっている。


「嘘じゃない。見て見なよ」


男性がモニターを指さしたので、あたしは再び視線を戻した。


金額は……1億円。


大きく表示されたその金額に会場内はどよめき、そしてそれ以上の金額がモニターに映ることはなかったのだった。