オークション

あたしは気を取り直してモニターを見た。


七島雪歩さんの足の時よりも若い女性が集まってきている事で、モンピーは鼻の下を伸ばしっぱなしだ。


「さて! それではそろそろミス日本に登場していただきましょうか!」


散々1人舞台をやったモンピーがようやくそう言った。


あたしは椅子に座り直し、画面をジッと見つめた。


「ミス日本の新田朝子(ニッタ アサハ)さんです!」


モンピーが紹介すると同時に会場内で大きな拍手が沸き起こる。


あたしは拍手をすることも忘れてモニターを見つめていた。


ステージ上に、スタッフに手を取られながらゆくりと上がってくる女性。


その女性を見た瞬間、あたしは思わずため息を漏らしていた。


写真で見るよりもずっと綺麗だ。


ステージライトなんていらないくらい、新田朝子さん本人がキラキラと輝いて見える。


彼女がニッコリとほほ笑んでどこともなく手をふるものだから、あたしは自然と手を振りかえしていた。


あの顔が……ほしい。


同性でも思わず好きになってしまいそうなくらい美しい顔。


派手過ぎず奥ゆかしさのある顔だ。


メイクもしているようだけれど、それは人前に出る礼儀ほどでほとんど素顔に見えた。