「沢山才能を持ってる人って羨ましいな」


素直にそう言ってくる委員長に、あたしは疑いの目を向けた。


そんな事を言うためにわざわざ話かけて来たとは思えない。


「……そう?」


「そうだよ。どんな道にでも行くことができる。きっと、どこでも成功できるから」


なにが言いたいんだろう?


遠まわしに嫌味を言っているのかもしれないが、委員長の性格上そんなまわりくどい事をするとは思えなかった。


「廊下、行こうか」


あたしは立ちあがってそう言った。


あたしの周りにはいつも人だかりができているから、声をかけたくてもかけられなかったのかもしれない。


そう思い、委員長と2人で廊下へ出た。


なるべく一通りの少ない場所を選び「なにか用事?」と、聞いた。


「友達との楽しい時間を奪ってしまってごめんね。でも、今日は行かないのかなって気になったから」


そう言い、委員長は長い黒髪をかき上げた。


同い年だとは思えないくらい、色っぽい。


「行くって、どこへ?」


「メール、見てないの?」


そう言われて、あたしはスマホを鞄の中に入れっぱなしだったと言う事に気が付いた。


最近はずっとポケットに入れていたけれど、今日は友人たちに囲まれて話に夢中になっていたので、メールの確認もしていない。