本当に大した会話はしていない。


輝夜はあたしの事を疑っていただけだ。


そしてあたしはそれを否定した。


ただそれだけのことだった。


「そうなんだ? てっきり告白されたのかと思ってた」


エレナが声量を絞ってそう言う。


あたしは輝夜の背中を思い出していた。


たぶん、輝夜は告白するつもりであたしを呼んだんだ。


でも、できなかった。


輝夜の中でケリを付ける音が、あたしには聞こえた気がしたんだ。


「そんな事ないよ」


あたしはニッコリとほほ笑んでそう言ったのだった。