今教室内にオークションの事を知っている人間はあたしを含めて3人いる。


エレナと、委員長だ。


オークションの事は外部へもらしてはいけない。


だから、この3人以外にオークションの事を知っている人がいたとすれ、その人は特別会員で間違いなかった。


屋上から戻ってきたあたしは教室内を見回した。


輝夜以外にあたしの才能を疑っている人間がいるのではないかと、用心深く観察する。


みんないつも通りの学校生活を送っているように見える。


オークションで才能を買うのは悪い事じゃない。


そうわかっているのに周囲を伺ってしまうのは、やはり自分自身に後ろめたい気持ちがあるからだった。


「藍那! 輝夜君と何話してたの?」


トイレに行っていたエレナが戻ってきて、そう聞いて来た。


「別に、大したことじゃないよ」


あたしはそう言ってほほ笑んだ。