輝夜と約束した場所は屋上だった。


今日は天気もよく風が心地よく吹き抜けていく。


あたしは屋上に置かれたベンチに座り、お弁当を広げた。


隣では輝夜がどこか緊張した様子で購買のパンの袋を開けていた。


「こうして2人で話すのは久しぶりだね」


沈黙に息苦しさを感じて、あたしはそう声をかけた。


「あぁ、そうだな」


輝夜は頷く。


しかし、いつものような会話が続いていかない。


仕方なくあたしはお弁当を食べる事に専念することにした。


朝食を抜いて来たので、さすがにお腹が空いている。


無言で食べ進めていると、輝夜の方が先に食べ終えてパンの袋をクシュクシュに丸め、買い物袋の中に押し込んだ。


あたしは最後の一口を食べて、ゆっくりと粗食する。


輝夜はご飯を終えたら何かを話すつもりだ。


会話が始まるまでの時間を少しでも稼ごうと思ったのだが、口の中の卵焼きはあっという間に胃に吸い込まれて行ってしまった。