モンピーと名乗った司会者はステージ上をグルグルと歩きながら今日の商品について説明をし始めた。


「今日の商品は画家の手! 画家の名前は五良野正子(イラノ マサコ)先生です。名前くらい、聞いたことありますよねぇ?」


「あたし、聞いたことある」


エレナがそう言った。


「あたしも。何年か前にテレビに出てた人だよね?」


「そうそう。その人のデビュー作品がすごく有名になってたけど、それからパッタリ見なくなったよね」


まるで一発芸人のようにテレビから姿を消した画家。


画家なのだから当然ずっと絵は描いていたようで、最近の作品が何作か紹介された。


それはサイトにも公開されていた絵だった。


肝心の《画家の手》というタイトルの絵はまだ出てこない。


有名だった人の絵と言う事で、あたしたちの好奇心はすくぐられていた。


と、その時だった。


「では、いよいよ五良野正子さんの登場です!!」


モンピーがステージ上で飛び跳ねてそう言った。


「え、本人も来てるんだね!?」


「そうみたい!」


あたしとエレナの目が輝く。