その目はすごく真剣だ。


「その足は世界で戦ってきた足なんだから、十分に通用する」


藤吉さんはそう言いきった。


「そうかもしれないけど、あたしは日本でみんなと一緒にいたいの」


あたしは少しムキになってそう言い返した。


どうして藤吉さんがそこまで海外にこだわるのか、あたしには理解できなかった。


藤吉さんの絵はネットオークションに出展すれば、たった数分で900万円もの値が付くようになっている。


落札される時にはマンマルマラソンの賞金額なんて軽く追い越している。


「あたし、もう帰るね」


そう言うと、あたしは2人を置いて家を出たのだった。