「あたしは特別会員じゃないんですけど……」


「北川さまのお連れ様ということで、オークションには参加いただけせんが、会場内にいていただくことはできます。ただ、通信機器だけはお渡しください」


そう言われ、エレナは少しホッとしたような顔でスマホを男性に渡した。


1人で会場から出てあの薄暗い階段を上がって行くのも怖いのだろう。


「北川さまはこちらのマイクを付けてください。


商品を落札したいときはこのマイクに付いているボタンを押し、そして金額を口頭にて告げてください。


また、椅子についている数字パネルを通してもオークションに参加していただく事ができます。


初めて参加される場合は、パネルの打ちこみより口頭の方がやりやすいと思います」


そう言われて、あたしは服の襟につけるタイプのマイクを受け取った。


それはテレビ番組などで芸能人が使っているのと、似たような感じだった。


「では、どうぞお好きな席へ」


男性にそう言われ、あたしとエレナは会場の席へと移動したのだった。