歩いていても足に何の違和感もなかった。


「それなら早く食べて準備しなさいよ? もう時間がないんだから」


そう言われてリビングの時計に目をやると、遅刻寸前の時間になっていた。


足に意識を奪われてしまっていたため、登校時間をすっかり忘れていた。


あたしは慌ててご飯を食べると、家を出た。


どうしよう。


間に合わないかもしれない。


そう思った時、不意に足がうずいた。


走りたい。


そんな感情が胸の奥から上がってくるのを感じる。


あたしはスマホで時間を確認した。


あたしがいくら急いで走ったって、ホームルームには間に合いそうにない。


でも……。


あたしは歩道へ出ると軽くジャンプをして足をならした。


そして……パンッ!という合図が脳内に鳴り響き走り出したのだった。