ステージ上から会場を見回すと、隅々まで見える事がわかった。


藤吉さんがステージからあたしとエレナの姿を見つける事ができたことにも、納得がいく。


みんなの視線があたしに向かい、あたしへ向けての拍手が沸き起こる。


言い知れぬ高揚感に包まれて、あたしは自然と笑顔になっていた。


「さて、それでは自己紹介をどうぞ!」


モンピーにそう言われ、マイクを向けられる。


「特別会員ナンバー1250番です」


自分の声が会場に響き渡る。


それはとても不思議な気分だった。


自分自身が置かれている環境がまだ信じられない。


「それでは、これから手術にうつります!」


モンピーがそう言うと、会場内からブーイングに近い声が聞こえて来た。


今日は女性客が多いから、手術シーンを見て喜ぶような人はいないみたいだ。


あたしはモンピーに促されるまま、用意されていたベッドに横になった。


胴体と手足をベルトで固定され、腰に注射を打たれる。


その痛みに一瞬声を上げそうになるが、なんとか耐える事ができた。


何の説明もないままに手術の準備は淡々と行われる。


今の注射がなんだったのか聞く暇ももらえず、ベッドの横には沢山の手術道具が並べられた。