ステージへ上がる階段まで差し掛かり、あたしは一旦足を止めた。


オレンジ色の蛍光灯で照らし出されているステージ上ではモンピーと七島雪歩さんが待っている。


七島雪歩さんは今の間にスタッフが用意したベッドに寝かされ、体を固定されている。


ステージに上がれば、もう引き返す事はできない。


ゴクリと生唾を飲み込み、階段に足をかけた。


たった5段ほどの階段をゆっくりゆっくり時間をかけて上がって行く。


350万円という破格で、あたしは元オリンピック選手の足を手に入れるのだ。


つま先から背中までぞくぞくとした熱気が駆け上がるのを感じる。


テレビの中野石澤先輩やクラスメートたちに囲まれている藤吉さん、そして日本一のIQを競り落とした少年の姿を思い出す。


次は……あたしの番だ。


そして、ついにあたしはステージに上がった……。