「いやぁ~七島さん陸上やめちゃうんですか? もったいないなぁ!!」


「膝を故障してしまって、一応は治ったんですけどその間にどんどん新しい子たちに記録を塗り替えられちゃって……。


金メダルもとれたし、ここが引き際かなぁと思って」


モンピーにマイクを渡されてそう返事をする七島雪歩さん。


膝を故障したけれど、治った。


それならオークションで競り落としてもちゃんと走れると言う事だ。


購入後に七島雪歩さんを追い抜くほどの実力をつければ、世界に行くこともできる。


そう考え、あたしはゴクリと生唾を飲み込んだ。


あたしが持っている実力と、七島雪歩さんの実力。


その2つが合わさってどこまでいけるのか、試してみたい。


そんな気持ちが湧いてくる。


「う~ん、いちファンとしてはまだ現役引退してほしくないんですが、決めた事なら仕方がないですね。その陸上の才能を誰かにお譲りしましょう!」


モンピーが興奮気味にそう言うと、会場から拍手が起こった。


「それではこれよりオークションの開始です!!」


モンピーの掛け声と同時に画面上に次々と数字が表れる。


最初は1万円。


それがあっという間に値上がって行く。


10万円、20万円。


金額の上昇は止まらない。