周囲から笑い声が漏れるなか、あたしはじれったい気持ちでモニターを見ていた。


会場内の椅子はすべて埋まった。


はやくオークションを開催してほしい。


そう思っていると、ようやくモンピーが七島雪歩さんの名前を呼んだ。


会場内に拍手が沸き起こり、少し照れくさそうにほほ笑む七島雪歩さんがステージへと上がってきた。


あたしは少し身を乗り出してステージの方を確認してみた。


テレビで見るよりもずっと小柄だ。


身長はきっとあたしと変わらないくらい。


これなら足を取り換えても周囲に気が付かれないかもしれない。


「七島雪歩さん! テレビで見るよりもずっと可愛らしいですね!!」


モンピーが鼻の下を伸ばしてそう言う。


七島雪歩は返事に困ったように首をかしげて「そんな事ないです」と、首を左右に振った。


確かに、モンピーの言う通り可愛らしい人だった。


七島雪歩はオリンピック選手としてだけでなく、その美しい容姿でも有名になっていた。


多くのファッション誌から声をかけられていたり、グラビアにスカウトされていると聞いたこともある。