それから更に1時間が経過した時、会場内は女性客ばかりで埋まっていた。


さすがに今日は男性の姿は少ない。


正直、オークションに参加するのは男性の方が多いと思っていたから、少し意外だった。


あたしと同じように誰かの才能をほしがっている女性が、想像以上にいたからだ。


きっと、ここに来ているみんなは同じ気持ちなんだろう。


だけど、会場内ではライバル同士だ。


負けるわけにはいかない。


あたしはステージにモンピーが現れると同時に、金額を打ち込むボードを開いた。


前回は押したくても押せなかったボード。


今回は、前回とは違う。


手は小刻みに震えているけれど自分の中でちゃんと欲しいと感じている。


「さぁさぁみなさま! このたびのお集まりいただきありがとうございます!!」


モンピーがいつもの調子で司会を始める。


今日は女性客が多いと見越してか、頬にはピンクのハート柄が描かれている。


意外と細かい所まで気をつかっているようだ。


「今日は七島雪歩さんの足と言う事で、女性のお客様が多いようですねぇ!? う~ん、みんな可愛い!!」


モンピーはそう言い、その場で飛び跳ねて体をくねらせた。