なにより、相手が女性であることがあたしにとって喜びだった。


オークションで足を落札したとしても、男性の足だとどうしても違和感がある。


スカートから除くのだから自分の体とあまりにも不一致なものはつけたくなかった。


でも、女性なら違和感も軽減されるはずだ。


「あ、あともう1つ。オークションで落札した時、みなさん特別会員ナンバーを言ってますよね?


あのナンバーってメールが届いた時に件名に書かれているものでいいんですか?」


「はい。メールのナンバーがお客様のナンバーになります」


スタッフはそう言い、笑顔で頷いた。


あたしはお礼を言い、自分の席に戻る。


メールが来るたびに同じ番号が書かれていたことを思い出す。


あの番号はきっとオークションに必要なのだと思い、知らず知らずの内に記憶していた。


あたしは椅子に座ったまま大きく呼吸を繰り返した。


七島雪歩の足……。


それがほしいという欲求が湧いてくるのを、確かに感じていたのだった。