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家に帰ってからあたしは男の子の顔を思い出していた。


たった1日経過しただけで、まるで別人のようだった。


しっかりした足取りで、1人でたこ焼きを買っていた。


あの子はまだまだこれから才能を開花させていくかもしれない。


藤吉さんが五良野正子を超えたように……。


そう思うと、あたしの体は震えた。


恐怖からではない、武者震いのようなものだった。


手の届く生活範囲内にオークションが存在している。


次はあたしが才能を手にする番かもしれない。


そう思うと、足の先からゾクゾクとした熱気が駆け上がってくるのを感じるのだ。


あたしはスマホを取り出した。


普通の通販サイトから新商品の案内メールが届いている。


早く……。


早く、次のオークションメールが来ないかな。


あたしはそう思い、にやりと笑ったのだった。