「───っ、いた」 ガラス張りの扉の向こう。何十メートルか離れた校門の近く。 コートのポケットに手を突っ込み、その寒さに肩を縮める後ろ姿。 見つけた、彼の背中を。 「はるせ……っ、」 走ったお陰で水分を失ったのどは、上手く声を発してくれない。 ──気がつけば、私は上靴のままにもかかわらず、無我夢中で玄関を飛び出していた。