そんな身体の弱い娘にも、幼なじみの彼氏がいた。
隣の家に住む広瀬家の次男坊。

4歳で陽菜に出会い、恋をして、それ以来、陽菜一筋という男。

悪くはない。

同じ学校に通い、常に同じクラスで陽菜を助けてくれる。
さすがに、親の分際ではどう頑張っても学校にいる間は手を出せない。
誰はばかることなく、陽菜を大切に守ってくれるのは、正直、ありがたかった。

身体を鍛えるのすら、陽菜を守るためだと言い切るそいつに、陽菜も惚れているらしい。

目の中に入れても痛くないと思うほどの愛娘だ。
父親として恋人との間を多少なりとも邪魔したいと思ったって、自然な気持ちだと思うのだが、どうだろう?

だが、陽菜があんまり幸せそうにそいつといるから、邪魔したくても、することができない。

陽菜の心臓がいつか、新しい治療法か何かで軽快したら、もしかして、こいつが陽菜を奪っていくのかとも思った。

嫌だけど、その時は許すしかないんだろうと思っていた。