今、あたしの左手首に傷は無い。 鬱にもノイローゼにもかからなかった。 だから、どれ程自分が苦しんでいるか伝わらない。 過呼吸になる先輩や友達が居た。 羨ましかった。 苦しいだろう。 誰もが気付くだろう。 あたしは多分、あなた達よりも苦しんでいるのに。 あたしの体は丈夫すぎた。 精神面が、強かった。 理性が先に働いた。 刃を向けた手首に、右手を動かす勇気が無かった。 本気でやろうとしたんじゃない。 この苦しみを、形で表したかっただけ。 解ってもらいたかっただけ。