季節は流れ

私は晴れて今日から高校生になる。
決まっていない制服は自由で今流行りのなんちゃって制服なんかにしてみた。

自分の好みに染めた髪に茶色い自慢の目

私は今日、なんちゃって制服でありながらもこの制服を着たことで高校生になったんだと実感した。



『あれ? なんか情報と違うような』



家のポストに入っていた地図を元にたどり着いた場所は海の側にある小さな校舎かどうかもわからない建物。

私が知っている学校は偏差値72で新しくできた綺麗な校舎。
こんな古い物など載っていなかった。



『インターホンを押してください?』



地図についてあるメモに書いてある通りに進むと校舎? の裏に門がありインターホンがついていた。
言う言葉を自分の中で整理すると決意を決めて押してみる。

ピーンポーン

ごく一般家庭と変わらない音だ



〈朝比奈高校の予備校舎でございますが何の御用でしょうか?〉

『神崎 葵と申します、家に届いていた地図に書いてある通りに来たらここに辿り着いたのですが』

〈さようでございますか、どうぞお通り下さい〉



遠距離でドアが開く。
小さな予備のドアを通りある程度進んでみたらちゃんと作りは校舎だった
取り敢えず、1-A組に向かうことにした



『多分ここだと思うんだけどなぁ』



間違っていたらどうしよう?
そんな不安を抱えたまま思い切りでドアを開けてみる。



「お前ら最後の生徒が来たぞ」

『はい?』



そこには幽霊がいた、幽霊にも形がある
動物の形なんかは直ぐにわかる。
だって足がないのだから
人間はある者もいればない者もいる。
幽霊それぞれなのだが

動物の霊などが何匹かいるのだ



『あの先生、どういうことですか』

「地図の裏にある手紙を読めばわかる取り敢えずお前の席に座ってくれ」



黒板に書いてある私の名前を見つけたら席に座る。
そして言われた通りに手紙を開いてみた


ー神崎様へ、この度はご入学おめでとうございます。
本校は心して貴方を向い入れましょう。
貴方は特別科に来ましたね?
それは貴方が現在いるクラス1-A組です。貴方はここで3年間を過ごすのでしょうー


ちょっとよろしいでしょうか?
全く状況把握できませんけど?!
心の中でツッコミを入れながら読んでいく


追加「守り神を手なづけ3年間の間に悪霊をできるだけ倒すのです」


なんとなく特別科の意味が理解できた、私がここに入れたのは幽霊が見えるから
そして頭の悪い私が特別科を選んだことによりここに来た。

だって普通科は偏差値72なのに特別科は50なんだもの。

人生甘くないものね



「よーし全員集まったところで出席を取る、荒島 梨花さん、遠藤 太郎さん」



ここのクラスを見渡すかぎり人数はそう多くない、ざっと18人ほどだ。
女子も男子も9人づつぐらいであろう



「神崎 葵さん」

『はい』

「吉野 美月さん」

「んー……はぁ〜い」



アクビをしながら返事を最後にしたのは私の席の前、枕を持った女の子。
金髪という派手な髪だが髪質的に地毛だと直ぐにわかる。



「おい吉野、枕は持ってくるなと何度も言ってるだろう、面接の時にも怒られただろ?」

「これだけは手放せなくて」

「学校に必要ないものは没収だ
放課後取りに来い」



そう言われた彼女の顔は見なくてもわかるぐらいションボリしていた。
そして死んでいるかのようにばたりと机にもたりかかり動かない。



『え?』

「か〜え〜せ〜」

「はぁ、先生には幽霊が見えないんだやめてくれ、ほら返してやるって」

「ありがとう、そしておやすみ」



何今の? わけがわからない、何が起こっているのか全く把握できない。
いきなり幽霊が現れて彼女の意思が動いたの?
それとも彼女自信が幽霊とリンクして動かしたの?



「ビックリしたか」

『うわっ、すごいクマ』

「あれはあいつの守り神、あいつが命令した時や酷く傷ついた時に動く霊だ」

『興味深いね、貴方は?』



そう聞くとだんまりしてしまった。
聞いてはいけなかったようで私は笑って誤魔化したのだが彼はきちんと質問に答えをくれた。



「俺のはもういない、お祓いされたよ」

『答えをくれてありがとう』

「変なやつ」



目に若干黒い前髪がかかっている彼は目のクマがすごく酷い。
鼻の高さや口からしてきっと美形なのは察知できる。



「入学式はもう終わりだ、みんな帰ってよし」



そっか、今日は入学式だから早いんだっけか。
手紙をリュックにしまうと私は帰ろうとする。