教科書を、いろんな方法で拭いたりしたけれど、やっぱり滲んじゃう。

はぁ…。



次の日、重い足取りで学校に向かう。

「あ、仁菜!おはよ!」

元気に、あゆちゃんが話しかけてくれる。私は、ニコッと微笑んで席に着く。



「……仁菜〜、昨日平気だったの?」

「あ、大丈夫だよ!」

あゆちゃんが心配したように聞いてくるから、私は笑って見せた。


「でも、これ……」

そう言って、汚れた教科書を見せる。


「わ、なにこれ……っ
ひどい…。」


あゆちゃんは、教科書を見たら驚いていた。

「……おい、俺の教科書…」

ポンッと肩を叩かれて、後ろを振り返ると桐崎くんが立っている。

あ、教科書……。


「……別に、もういいよ。
あんたがここまでやってくれたからもう、いい。」

そう言って、私の手から教科書をとる。