晴天の朝。
空には飛行機の骨組みに布を貼ったようなものが飛んでいた。
「皇コウ様。あちらが‘平ヘイの国’の極南、
‘泰子タイシ’でございます。」
皇と呼ばれた男は手渡された双眼鏡を使い
足下に広がる地を見た。
「報告通りだいぶ荒れているな、
これではなにも育たんだろう。」
「その通りでございます。
さぁ、長旅でお疲れでしょう。お座りください。」
「お飲み物をどうぞ。」
面倒だ…
この視察もなかば強引に連れてこられたようなもの。
宮殿で読書でもしていたほうが
よっぽど有意義だな。
「おい、お前名はなんという?」
皇は手前に立っていた人間に問いた。
「はい。
私は姜苑カンエンと申します。」
「位は?」
「つい去年昇格いたしまして、
上ノ三
でございます。」
「ほぉ。
ぜひ立派な服と勲章を見てみたいものだな。
空船は便利だが、
重さに制限があるのが惜しい。
改良が必要だ。」
「まったくでございます。」