平国に来てから7日くらい。
食べたことのない美味しいものを食べ
見たことのない綺麗な服を着て
チヤホヤされていた。

依然、涙は出ない。



「素敵ですわミーヤ様。
黒い髪と赤い服がよく似合いますわ。」

「…ありがとう。」

使用人が気を使ってか沢山話しかけてくれる。
もちろん言葉は訛っている。



7日前の静けさが嘘のようにミーヤのいる塔は賑わっていた。
どこぞから王子が少女を拾ってきたのに皆相当驚いているそうだ。

この塔、聞くところによると皇一人ものらしい。
良いご身分なものだ。

いまさらだけど、一国の王子だったんだ…



「調子はどうだ?」
毎日暇を見ては顔を出しに来る皇。

「見ての通り。」
話すネタがないのか、同じ質問。
忙しいだろうに、
なんでわざわざここに来るんだ。

…なんで私を連れてきたんだろう。

皇のことだから何かあるんだろう…きっと。

でももう何も考えたくない
私は島から出た人間。

今更何を思ったところで…