ここの土手は、 私と郁人の思い出がたくさんある。 「郁人。」 「…ん?」 「黄昏るの、付き合ってよ。」 と笑いかけると、 無邪気に笑った郁人は 「おう、」 と言って私の隣に並んで座った。 そよそよと優しい秋の風が吹く。 野コスモスが、ふわふわ揺れていて 子供達のはしゃぐ声に、 川の流れる音。 全てが心地よくて、 隣に静かに座っている、 隣に郁人がいてくれるのがうれしくて、 私はこの幸せに浸っていた。 この日は、星が空に昇った時私達はそのまま帰路へと着いた。