赤くなる頬を私はパタパタと冷まして、
帰りの準備を沙織先輩と進めた。
ギャラリーの二階からの妖しい笑みに気づかずに…
帰り道、夕焼け空の下を郁人と歩く。
土手の下には小さい子供たちが楽しそうに遊んでる。
私と郁人はそんな様子を見ながらゆっくりと歩く。
川がオレンジ色に染まって、
「ねぇ、郁人。」
「…ん?」
「いつもありがとう。」
ふと、伝えたくなった言葉…
郁人の目を見て伝えると恥ずかしそうに顔をそらした郁人は、
「…ん。」
とだけ言って、少し前を歩いてしまった。
そんな郁人に私はおもわず笑みが出る。
あぁ、本当に好きだな。
すき。
「…すき。」
「…ん?」
ハッと顔を上げると不思議そうに私を見る郁人に慌てて首を振って、
「寿司食べたいなって!」
と笑って誤魔化すと、そっかとだけ行ってまた歩き始めた。


