そして次の日の予選大会
白熱した体育館で、私と沙織先輩とギャラリーの桜岡高校を応援する叫び声と、
北星高校のマネージャーとの叫び声が響いていた。
「そこ!」
「はしれ!」
「「がんばってー!!」」
そして、残り2分を切った体育館は、
34-32
桜岡高校が負けている。
焦り始める桜岡高校の部員たちとギャラリー。
「焦らないで!大丈夫だよ!」
叫び続ける。
けど、
「奈緒!危ない!」
目の前にはファールボールがノーバンで私に向かってくる。
とっさに動かなくなった体。
やばい絶対鼻血出る。
そう思った時、
キャーーーー!!!
女子の黄色い歓声が上がったと同時に、
ドンッ。
なぜかボールは顔面に当たらなくて、
変わりに私は壁に体を押し付けられていた。
恐る恐る顔を上げると、
やっぱり、
「ヒーローだ。」
郁人が、ボールから私を守るようにして、
壁について立っていた。
これが、噂の壁ドン。
ドキドキ早くなる胸。
どうやら、顔面ドンになる前に郁人が横からボールを弾いて、
その弾みで私を壁ドンした、的な。


