泣き虫とヒーロー ~約束の四つ葉のクローバー~



奈緒side

次の日目を覚ますと隣に郁人はいなかった。

「…いく、と?」

怖くなって辺りを見回す。

郁人

郁人どこにいるの?

涙が出るのをこらえて階段を駆け下りていると、

残り6段というところで足を踏み外した。

「っきゃっ!」

目をつむって衝撃に備えるが、


私を覆ったのは想像していた痛みじゃなくて、

「っぶねぇ。」

郁人のホッとした声だった。

恐る恐る顔を上げると、私を抱きとめている郁人。

郁人の顔を見た途端ホッとした私は、

郁人に抱きついて涙を流した。

「っいくとっ。」

「…っん?」

お願い。

おねがい。

「…どこにも、いかないでぇっ。」

本音と弱音が出た時私の中で我慢していたものが弾けた。

「どこにも行かないで。

1人にしないで。

私、郁人の事す「奈緒。

どうした?おかしいぞ?。」

郁人の怪訝そうな顔に私は、

目を見開く。

え、私何言おうとした?

ハッとして口元に手を当てて一歩後ずさると、

「ばっ!奈緒!」

そこは当たり前に階段。

ぐらりと傾いた体は後ろへとスローモーションで倒れていく。

だけど、

ぐいっと今度は郁人に抱きしめられた。