そして、俺は戻ってきて早々自分の目を疑った。
亮太くんが兄貴の自転車のブレーキの線を切っていて、その上をブレーキ線と同じ色のテープで巻いていた。
「なにやってんの?」
思わず出た言葉に
亮太くんは慌てて振り向くと、
「な、な、なにもやってない!
整備してただけだ!」
と笑ってどもりながら言う亮太くんに眉間の皺は深くなるばかり。
「整備って、ブレーキ線切ることが?」
そう、聞くとコクコク頷いて
「あれだよ!あれ!知らないのか?!
ブレーキ線は切ってテープで巻いた方がいいんだよ!」
といった亮太くんに、
もう中1、まだ中1
の俺はバカなくらいに納得してしまった。
亮太くんの言葉を信じきった俺。
「周平には言うなよ!
サプライズだから。」
の言葉に俺は笑って頷いてしまった。


