沢村美咲に言われたことは簡単に思えて難しいことだった…
『先輩のお兄ちゃんとあなたの義理の姉の幸せを壊されたくなかったら
私と付き合って、』
それだけなら、俺は兄貴にでも言ってどうにかできた。
だけど、
他にも条件はあった。
『この話には私の兄も絡んでるわ。
先輩も薄々気づいてますよね?
私の兄がおかしいって、あなたのお兄さんを裏切った事をしたって知っていますよね?
それを知ったお兄さんは深く傷つく…
だって、
私のお兄ちゃんのせいで先輩のお兄ちゃんのバスケ人生大好きだったバスケ人生を奪ったんですから。』
『もしこのことを他の誰かに口外ししたら、この話を断ったら
先輩の大切な人
高山奈緒先輩を自殺にまで追い込んで見せます。
もちろんあなたのお兄ちゃんも、義理の姉も深く傷つけてみせますよ。
高山奈緒先輩はみんなに愛されていて、
死んででもしたらただでさえみんな深く悲しく傷つくんでしょうね。
それじゃあ、いい答えが出るのを待ってますね。』
妖しく笑ったあの笑顔が憎くて憎くてしょうがない。
本当は知ってた事実を兄貴にすぐに伝えなかったこと。
そして、奈緒に好きと伝えられなかったのが唯一の俺の大きな後悔だ。


