シーンとなった体育館に、
「奈緒ちゃんは悪くないよね。」
部長の優しい声が私の鼓膜を揺らした…
「奈緒は頑張ってるし、
謝る意味がわからない。」
沙織先輩の凜とした声。
「俺らもなんで奈緒ちゃんが謝ったのかわかんねぇ。」
3年のエースの先輩方の声、
なんで、そんな優しい事言うの。
どんどん歪む視界。
そして、
「奈緒、謝んなよ。
ごめんな遅くなって。」
と、いう郁人の声と横にドンっと置かれるジャグ。
とうとう私は涙が溢れて、止まらなくなってしまった。
頭を上げられなくて、
だけど沙織先輩の優しい言葉が鼓膜を揺らす。
「奈緒、確かに私は奈緒のミスで一緒に頭を下げた時はある。
だけどね、それは奈緒が頑張った上でのミスだったから、
わかる?言ってること。
それに、相手も奈緒が頑張っていることを知っているから許してくれの
だけどね、頑張ってもない後輩のミスで奈緒が頭をさげる理由なんてないのよ。
だから、奈緒謝らなくていい。」
沙織先輩の強くて優しい言葉に私は涙を拭って顔を上げた…
そこには優しく私を見つめる先輩達。
みんな私の頭を撫でてくれて、
「泣くなよ。」
と笑ってぐしゃぐしゃっとしてくる。
そして、私の隣に立っている郁人に私は泣き腫らした目で
へへへと笑いかけて
「ありがとう。」
と普通に話しかけられてることに気づいた私は
くすぐったくて照れながら笑ってお礼を言った。
そんな私に郁人は
おう、と言ってそっぽを向きながら頭を撫でてくれた…


