朝練が終わり、

練習予定を確認する。

えっと、明後日は学校は休みだけど

大会の予選だ。
じゃあ、今日のうちに試合用のゼッケンとか洗っとかないと。

あと、コールドスプレーのチェックと湿布とテーピングの残りも…

あの後、落ち着いた私たちはきちんとマネージャーの仕事をこなした。

だって、私と沙織先輩しかマネージャーの仕事をしていないから…

沙織先輩は洗濯物を干しに行って、私は

戸締りの確認など。


一通り終えると、沙織先輩がカゴを戻して出たのを確認してからドアを閉めて職員室へと鍵を持って行こうと振り返ると、

渡り廊下の塀に寄りかかった郁人の姿。

ドクンッと大きく胸がなるのを抑えて、

足早に郁人の前を通ると、

「奈緒。」

弱々しく呼ばれた私の名前。

もちろん呼んだ人は郁人だ。

思わず止まった足をこんなに恨んだことはあっただろうか。

振り返り、何?と聞くと

「なんで避けんの?」

と悲しそうな、怒ってるようにも見えるなんとも言えない表情の郁人。