泣き虫とヒーロー ~約束の四つ葉のクローバー~




それを確認した瞬間。

私は、押し殺していた声をやめて、

思いっきり泣いた。

「…ヒック…グズッ…ウウッ…」

「…いくとぉっ…まゆぅっ。」

ボロボロと止まらない涙

無意識に大切な2人の名前が溢れる。


たすけて。

苦しいよ。


「奈緒。」

優しい声が私の鼓膜を優しく揺らした。

慌てて振り返ると、そこには悲しそうな顔をした






麻友が立っていた。

「な、んで…」

驚きでかすれた声しか出ない私に麻友はぎゅっと抱きしめて、

弱々しい声で、

「奈緒、起きてたよね。」

と私の耳元で問いかけてきた。

私はその質問に肯定の意味でゆっくりと頷いた。

頷いた私に辛そうに言葉を詰まらせた麻友は、

「奈緒は、瀬山のことがずっと好きなんでしょ?」

少し迷ってからコクンと頷いた。

麻友の声が嘘をつかないで。と言っている気がして、

「ごめ、んね。
私、郁人のこと諦められそ、にないや。」

そう言うと一層私を強く抱きしめた麻友は、

「諦めなくていいんだよっ。
私は奈緒をずっと応援しているから。

本当は、奈緒が瀬山を好きってずっと前から気づいてた。

だけど、奈緒から瀬山が好きって聞きたくて意地悪してた。

ごめんね。

奈緒。」

麻友の優しい言葉に、麻友の優しい温もりに、私は声が枯れるほど泣きわめいた。