やっぱり郁人はヒーロー。

止まらない涙。

そして、家に着いた時、

ダイニングテーブルに置かれた、

ラップされた私の大好物たちを見つけて、

言葉を失った。

私の料理より遥かに上手いそれは、

郁人以外作ったなんて考えられなくて、

涙が余計止まらなくなった。

私を優しくソファーにおろした郁人は、

泣き続ける私の頭を優しく撫でてくれて、

「…早く助けに行けなくてごめんな。」

そう泣きそうな顔で言いながら抱きしめてくれた。

郁人の腕の中で言葉を吐き出していく。



「助けてくれてありがとう。」

「…ん。」

でも、でもね。

「メール返してくれなかったのが、
悲しかった。」

そういった私に無言になった郁人は

すくっと立ち上がって、

どこかに行ってしまった。

怒らせちゃった?

そう思ってると、

スマホを持ってリビングに戻ってきた郁人は、

「…スマホ水没した。」

気まずそうに私にスマホを渡してきた。