俺は、体を反転させて、

奈緒を抱きしめた…

震える奈緒。

「…怖かった、よ。」

涙を流して俺に抱きついている奈緒は、

腰が抜けたのか、

俺が支えてる状態。

そんな奈緒を抱き上げて、

春樹の方を見ると、

立花を抱きかかえて安堵の表情を浮かべる春樹がいて、

理玖も笹山を春樹と同じように抱き上げていた。


「…春樹、理玖、

俺、奈緒連れて帰るわ。」

「…おう、俺も麻友連れて帰る。」

「俺も、玲奈連れて帰る。」

春樹からカバンを預かって、

奈緒のカバンを持って、

帰路へと着いた。

暗い住宅街で、

響く奈緒のすすり泣く声。

そんな奈緒を、

守るように、

もう離さない。

その気持ちを込めて強く抱きしめた。