瀬山、なんかより?

どういうこと?

「私の幸せをあなたが勝手に決めないで。」

気づけば低い声で佐野くんを威嚇していた。

イライラして、

郁人を見下された気がして、

「だって!瀬山は沢村と付き合ってたじゃないか!」

まだ言うか、こいつは。

「だから?
それにも色々あるんだよね。

だから、そっとしておいてくれない?」

と言った私。

もう嫌だ

イライラしてどうにかなりそう。

そう思ったとき、

佐野君の顔が恐怖で染まって、

私の体が大好きな人の温もりに包まれた。

私の鎖骨と胸の間に回る青いリストバンドをつけた大好きな人の腕を赤いリストバンドをつけた腕でぎゅーっと抱きしめた。


「俺の奈緒になんか用?
誰に許可得てんのお前。

それに俺沢村と付き合ってねぇしな。」

低い低い郁人の大変お怒りの声。