目を覚ますと見慣れた部屋。

ぼんやりとする景色に頭が痛む。

だけど、不意に

「あぁ、好きだよ
ずっと前から好きだった。」

郁人の声。

私は慌てて眠っているふりをして、

話に耳を傾ける。

「なら、なんで伝えないの?」

麻友の冷たい、どこか怒りを抑えている声に
思わず肩がぴくりと震える。

少しの沈黙のあと

「怖いからだよ。

関係が崩れるのか怖いんだよ。

……としても、マネージャーとしても…」

郁人の弱々しい声に

ズキッと胸が痛む。

よく聞こえなかった単語を聞きたい。

だけど、すごく怖い。

後輩と言ったの?

聞きたい。

だけど怖い。

「へぇ、あんたってすごく意気地なしなんだ。」

麻友の冷めた声。

麻友は郁人と美咲ちゃんを応援しているの?