麻友の持っていた赤い傘は

私が抱きついた反動でアスファルトに落ちていった。

なぜか、その赤い傘だけが鮮やかに見えて…

他の世界は白黒になった気がした。

郁人がいないと、私は色までわからなくなっちゃうの?

雨はだんだんと強くなっていき、

私と麻友に容赦なく降り注ぐ雨

いつか、この雨は…

いつか私が郁人を想って泣く涙は

止まる日は来るのだろうか…。