笑って偽る。

笑うと郁人は嬉しそうに笑い返してくれるから…。

これでいいんだ。

郁人の記憶がなくなってても、

もし、本当にアメリカに行ってしまっても…

私は、大丈夫。

郁人とのたくさんの思い出があるから…

伏せられた写真立て。

いつか、また、

立てられることはあるのかな。




「…緒…奈緒!」

郁人の声にピクリと肩を上げると、

心配そうに私を見つめる郁人と目があった。

「あ、ごめんね。
眠くて、じゃあ寝よっか。」

無理やり骨格を上げて、

郁人をベッドへと押して、

隣へと寝転がると、

すぐに私は眠りにつけた。