「もしも、俺が奈緒のことを全部わかってる、
俺に嫉妬してるって言ったらバカだと思う?」
郁人の震える声に私はゆっくりと首を振った。
そんな私を見てほっとした顔を見せた郁人は、
「奈緒を助けたのは、
"瀬山郁人,,
だけど、俺じゃない。
17年間の俺なんだよ…」
意味わかる?と優しく切なそうな郁人の声に
私は首を振った。
すると、
困ったように眉を寄せた郁人は、
「んー、なんていうのかな…。
奈緒をすべて知ってる俺なんだよ。
奈緒と一緒に17年間を築き上げてきた俺。」
そう説明してくれた言葉に、
私は全てを察した。
あぁ、
郁人は、どこまで優しいんだろう…。
だけどね、
「郁人は、郁人だよ。
17年間を築き上げてきた郁人も
今の郁人も郁人なんだよ…。
私にとったら世界で一番大切な人なんだよ…
私にとったら世界で一番愛しい人に変わりはないんだよ…。」
そう、笑いかけて、おでこを合わせると、
郁人はくしゃっと笑って、
「ありがと、奈緒。」
おでこに優しくキスを落とした。


