本当はもっと早く郁人を抱きしめたかった。
本当はもっと早く
私の本当の思いを伝えたかった。
本当はもっともっと頼って欲しかった。
本当は、あの時、
『奈緒は好きなやついんの?』
郁人の言葉に笑って、
《郁人だよ。》
そう、言いたかった。
もしも、
過去に戻れるのなら、
私は、小3の頃バスケができなくなった時じゃなくて…
郁人に想いを伝えられなかった時でもなくて…
階段から落ちる前に戻りたい。
苦しむのは私だけでいい。
もう十分郁人は苦しんだ。
ううん、
苦しみすぎた。
これ以上、
郁人を苦しませるくらいなら
私が変わりたかった。
郁人が、涙を流すなら…
流すくらいなら…
私が郁人の分も涙を流すほどの辛い事を受け止めるから…
郁人の辛さを受け止めるから、


